電気が来ない

 今回は154kV変電所もかなり停電したようだ。電源脱落・負荷脱落すると、周波数が動揺する。
発電機にとっては、周波数と回転数は比例関係にあるため、軸ブレやタービン損傷、果ては
コイルの焼き切れなど様々な被害を受ける。これらの復旧は数週間〜数ヶ月単位の時間がかかり
送電できなくなってしまう。
 こういった、復旧不可能に近い被害を最小限に食い止めるため、系統安定度を自動制御する装置、
SSCとかTSCとかいうのがある。簡単に言えば、ブランコが振れすぎないように強制的に抑える
=負荷または電源を切り離す。
 大規模な停電があった場合は、通常なら決まった方向から電源を導入し、順次並列する。但し、
地震などの災害時は送電・変電設備が損壊している恐れがあるため、相当の時間を要する。
地震発生直後のミリ秒オーダーで停電→再送電する装置はもちろん付いているが、それで失敗したと
なれば設備損壊の可能性が高くなる。送電線が切れ、建物から被災者が逃げ出し逃げまどう中、
送電線が接地した状態で加圧したら大変な事になる。そのため、TVではほとんど報道されないが、
大規模災害発生時は自動出社することになっており、突貫作業で巡視・復旧にあたる。
 だいたい、これで154kV系統まではほぼ一日ぐらいで復旧してくる。154kV系統が復旧するという
ことは、変電所の変圧器を通して77kVとか33kVの特高需要への送電の準備ができる。今回も病院等
ライフラインを優先して復旧されていたと思う。